アムステルダムでの Unite 2012 で紹介された The Butterfly Effect のアニメーションが、あっという間に大きく広がっています。最初に動画として公開された本プロジェクトでしたが、基調講演では初となるエンジン上でのデモが行われ、会場を訪れた方は最先端のビジュアル表現を実現するための今後の方向性と、改良されたツールの一端を実際に目にしました。

このプロジェクトは、ビジュアル表現における Unity の能力を Unity コミュニティの皆さんに見てもらうべく立ち上げたものです。私たちは、Unity というエンジンをさらに進化させたいと考えています。そのために実務プロセスから学習し、改良すべきポイントを特定し、次の、そして未来の Unity をかたち作っていきます。さて、今回公開されたメイキング動画の内容の通り、Unity は今回の試みから実に多くのことを学ぶことができました。

このプロジェクトについて「なぜ Passion Pictures 社と協力することにしたのか?」という質問が多くの方から寄せられています。この質問はおそらく、同社がビデオゲーム業界ではなく、いわゆる CG アニメーション業界のスタジオであることに由来するものでしょう。しかし、Passion Pictures 社がビデオゲームと離れた分野で実績あるスタジオであったこと、そしてリアルタイムレンダリングの経験が無かったことこそ、私たちが一緒に作りたいと考えた一番の理由だったのです。私たちは、同スタジオにおける従来のアニメーション制作プロセスこそが Unity に新たな視点を提供してくれると確信していました。その確信は実際に正しく、業界外のスタジオに新たな知見を求めるという決断はこれ以上ないほどの成功につながりました。たとえば、コンパイル不要でプレビューできるエディター上でのライブスクラブ機能や、ゲームビュー上でシーンカメラをプレビューする機能もプロジェクトの大きな成果の一部でした。これらは今後の Unity プロダクトを考えていく上で非常に有益なアイデアとなりました。

また Passion Pictures 社との協力を通じて得られたのは、新しいツールのアイデアだけではありません。彼らからは、確立されたスタイルを持つアートやコンテンツを生み出すための技術もしっかりと教わりました。私たちはこれ以上、宇宙海兵隊や荒廃した未来世界を生み出したいとは考えていません。もっと私たちが感情移入できる、えぐりこむような斬新さを持ったものを生み出したいのです。また今回は、動画の意図するところをより十分に伝えるため、キャラクターデザインと関連テクノロジーについても力を入れています。重要度の高いフェイシャルアニメーションのブレンドシェイプから、ツイてない主人公に命を吹き込むスキンシェーダーまで、技術の粋を集めてじっくりと作り込みました。

毛の表現には Nvidia 社からの協力を得て、限界ギリギリまでテッセレーションを活用しています。主人公の髪の毛から素敵なウサちゃんスリッパまで、その成果は動画でご覧いただけると思います。また Nvidia 社のおかげで、主人公の「風になびく髪の毛」モーションを追加制作することもできました。ここは各シーンのクオリティをぐっと引き上げてくれたと思います。

この他にも技術的に面白いことを色々と詰め込んであります。たとえば、低コストでより優れたライティングとシャドウを可能にする新しいライトマッピングソリューションや、アーティストとプログラマーの両方がより微細な制御をできるようにするツール、多種多様な素材タイプに対応しオフライン CG 分野で普及している Mental Ray Architectural ライブラリに着想を得た物理ベースの新シェーダー、より堅牢な素材インスペクタツール、ライトプローブに似た高パフォーマンスのリフレクションを可能にするプローブ (最後の巨大火砕爆発で使用) などがその一例です。

さて、今回のプロジェクトで学んだたくさんのことは Unity 4.x 以降に生かされていくわけですが、Unity 4.0 の DirectX 11 サポートの効果は即座に実感していただけますので、ポストエフェクトのクオリティ向上にぜひご活用ください。

Unity が Passion Pictures 社と Nvidia 社の協力を得て完成させた「The Butterfly Effect」。上の動画がそのメイキングです。ぜひご覧ください。それから完成版のショートムービーは下記からご覧いただけます。

動画「Butterfly Effect」の詳細については、http://japan.unity3d.com/promo/butterfly/ をご覧ください。

本記事はUnity3D.comの記事「The Butterfly Effect Project」を翻訳したものです。

デモ, チュートリアルとヒント, 技術解説, Unity 製品およびサービスに Renaldas Zioma が投稿(投稿日:2012 年 11 月 7 日)